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07月

天国にちがいない(7/24~7/30)

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この世界は、かくも可笑しく 愛おしい――。

監督:
 エリア・スレイマン
出演:
 エリア・スレイマン
 タリク・コプティ
 アリ・スリマン
 ガエル・ガルシア・ベルナル
原題:
 It Must Be Heaven
上映時間:
 102分
日本公開日:
 2021年1月29日
製作:
 2019年製作/フランス・カタール・ドイツ・カナダ・トルコ・パレスチナ合作
映倫区分:
 G
配給:
 アルバトロス・フィルム、クロックワークス

第72回カンヌ国際映画祭W受賞(特別賞×国際映画批評家連盟賞)
第92回アカデミー賞国際長編映画賞(パレスチナ代表)

アイロニーに満ちたユーモアと詩情豊かなイマジネーション― 
現代のチャップリンと称される名匠エリア・スレイマン10年ぶり最高傑作。
映画監督であるエリア・スレイマン(以下ES)は、新作映画の企画を売り込むため、そして新たなる故郷を探すため、ナザレからパリ、ニューヨークへと旅をする。
パリでは美しい景観に見惚れる一方、街を走る戦車、炊き出しに並ぶ大勢の人、救護されるホームレスを、ニューヨークでは映画学校の講演会で対談相手の教師から「あなたは真の流浪人ですか?」と唐突に質問をされ呆気に取られながら、街で銃を持つ市民、上空を旋回するヘリコプター、セントラルパークで警官に追われ逃げ回る裸の天使を目の当たりにする。さらに、肝心の映画企画は友人ガエル・ガルシア・ベルナルの協力を得るも「パレスチナ色が弱い」とプロデューサーからあっけなく断られてしまう。
パリからニューヨーク、いかに遠くへ行こうとも、平和と秩序があるとされる街にいようとも、何かがいつも彼に故郷を思い起こさせる。新たなる故郷での新生活への期待は間違いの喜劇となる。
アイデンティティ、国籍、所属に巡るコミカルな叙事詩(サーガ)。
まるで、どこに行っても同じ――。この世界はパレスチナの縮図なのか?
そこでESはある根本的な疑問を投げかける。「我々の“故郷”と呼べる場所とはいったい何なのか―?」

果たして我々の“故郷”と呼べる場所とは何なのか―?
アイロニーに満ちたユーモアと詩情豊かなイマジネーションで贈る珠玉のコメディー
ナザレ、パリ、ニューヨークと、ひとりの男の極私的な旅路を、その地独特の街並みや慣習を美しく軽やかに演出。気品あふれる映像美に酔いしれる。あくまでエレガントなタッチを崩さず、「パレスチナ問題」をユーモラスに演出。だがそこには、監督の強烈な政治的メッセージが込められている。
長編デビュー作『消えゆくものたちの年代記』(96)、『D.I.』(02)を通して、主演しながらひと言も喋らなかったESが、この映画ではふた言だけ口を開く。「ナザレ」「パレスチナ人だ」!
英語、フランス語、アラブ語、スペイン語、ヘブライ語……あらゆる言語が飛び交う旅を通して、この世界に生きる全ての人に根源的な疑問を投げかける意欲作であり、パレスチナへの愛と苦悩、そして世界の混迷と人間の愛おしさを軽やかな映像美で描く名匠エリア・スレイマン10年ぶりの新たなる傑作である。

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