22
01月

悪なき殺人(1/22~2/4)

Seules_les_betes.jpg
人間は、「偶然」には勝てない―

監督:
 ドミニク・モル
出演:
 ドゥニ・メノーシェ
 ロール・カラミー
 ダミアン・ボナール
 ナディア・テレスツィエンキービッツ
 バスティアン・ブイヨン
 ギイ・ロジェ・“ビビーゼ”・ンドゥリン
 バレリア・ブルーニ・テデスキ
原題:
 Seules les betes
上映時間:
 116分
製作:
 2019年製作/フランス・ドイツ合作
映倫区分:
 R15+
配給:
 STAR CHANNEL MOVIES

この物語は、ある女性の殺人事件から始まる
・・・はずだった。
偶然の連鎖翻弄される運命を、誰が予想できただろうか

フランスの山中にある寒村で、一人の女性が失踪し殺された。
疑われたのは農夫・ジョゼフ。
ジョゼフと不倫する女・アリス。
妻のアリスに隠れてネット恋愛する夫・ミシェル。
そして遠く離れたアフリカで詐欺を行うアルマン。
秘密を抱えた5人の男女がひとつの殺人事件を介して絡まり合っていく。

だが、我々はまだ知らない・・・
この事件がフランスから5000kmも離れた場所から始まり、
たったひとつの「偶然」が連鎖し、悪意なき人間が殺人者になることを。

『ハリー、見知らぬ友人』などで日本でも知られる鬼才ドミニク・モルが、得意のサスペンスに仕立てあげた本作は、同じ出来事を複数の人物の視点で語り直す、黒澤明の『羅生門』を彷彿とさせる手法で描かれる。しかし、それだけではない。さらにそこから空間や時間を飛び越えたシークエンスが、まるでパズルを解くように、散りばめられた伏線がすべて回収されていく仕掛けが施されている。それは、同じく『羅生門』方式を使ったクエンティン・タランティーノの『ジャッキー・ブラウン』や、デヴィッド・フィンチャーの『ゴーン・ガール』のファンも満足させるはずだ。
そして、その背後にあるのは、秘密を抱えた孤独な人々の、求めても報われることのない愛を必死に追い求めようとする姿。この映画はそこまで踏み込んでいるからこそ、単なるジャンル映画を超えた一級の人間ドラマにもなっているのだ。

本作は、フランスの「AlloCiné」で星3.7を獲得し、厳しい評価で知られる「リベラシオン」紙で満点の星5を叩き出している。また、「Rotten Tomatoes」のトマトメーターでは97%の高評価を得ている。カンヌ国際映画祭では、脚本賞と助演女優賞(ロール・カラミー)にノミネートされ、東京国際映画祭で観客賞を受賞し、新人のナディア・テレスキウィッツは、同映画祭で見事最優秀女優賞を獲得している。

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