12
03月

国境の夜想曲(3/12~3/25)

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どんな場所でも、どんな夜でも、かならず朝は来る

監督:
 ジャンフランコ・ロージ
製作:
 ドナテッラ・パレルモ
 ジャンフランコ・ロージ
 パオロ・デル・ブロッコ
 セルジュ・ラルー
 カミーユ・レムレ
 オルワ・ニラビワ
 エバ=マリア・ベールツ
撮影:
 ジャンフランコ・ロージ
編集:
 ヤーコポ・クアドリ
 ファブリツィオ・フェデリコ
原題:
 Notturno
上映時間:
 104分
製作:
 イタリア・フランス・ドイツ合作
配給:
 ビターズ・エンド

第77回ヴェネチア国際映画祭 3冠

9.11から20年、戦争に翻弄され、分断された世界
しかしそこには、夜の暗闇から一条の光を待ちわびる人々のささやかな営みがあった

廃墟となった街々、訓練をする兵士たち、油田の炎と銃声。それぞれの国境地帯で、それでも生きていく人々の生活が映し出される。

ベルリン、ヴェネチアをドキュメンタリー映画で初めて制した名匠ジャンフランコ・ロージが美しくも詩情豊かな映像とともに照らし出す、痛みとその先にある希望
『国境の夜想曲』は、ドキュメンタリー映画の名匠ジャンフランコ・ロージの最新作だ。第77回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出され、ユニセフ賞、ヤング・シネマ賞 最優秀イタリア映画賞、ソッリーゾ・ディベルソ賞 最優秀イタリア映画賞の3冠を獲得した。

本作は3年以上の歳月をかけて、イラク、シリア、レバノン、クルディスタンの国境地帯で撮影された。この地域は2001年の9.11米同時多発テロ、2010年のアラブの春に端を発し、今年2021年8月のアメリカのアフガニスタンからの撤退とそれに伴う悲劇に至るまで、現在と地続きで、侵略、圧政、テロリズムが数多くの人々を犠牲にしている。そんな幾多の痛みに満ちた地をロージ監督は通訳を伴わずにひとり旅をし、そこに残された者たちの声に耳を傾け続ける。

戦争で失った息子を想い哀悼歌を歌う母親たち、ISIS(イスラム国)の侵略により癒えることのない痛みを抱えた子供たち、政治風刺劇を演じる精神病院の患者たち、シリアに連れ去られた娘からの音声メッセージの声を何度も聞き続ける母親、夜も明けぬうちから家族の生活のため、草原に猟師をガイドする少年。

平和な日常に生きる我々からは想像もできない、夜の闇のような絶望に満ちた生活。4つの地域を映しながらも、映画の中ではその地域を明示しない。それは、国境の向こうでもこちら側でも、どちらにも同じように“ただ毎日を生きる人々”がいるからだ。油田と、銃声と、軍隊の行進と隣り合わせの世界。そこに暮らしているからこそ感じられる一条の希望と、懸命に生きようとする人々の姿が確かに見えてくるはずだ─。

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