04
03月

スープとイデオロギー(3/4~3/10)

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ついに母が教えてくれた
おいしいスープのレシピと 「済州4・3事件」の実体験

監督/脚本・ナレーション:
 ヤン ヨンヒ
撮影監督:
 加藤孝信
編集/プロデューサー:
 ベクホ・ジェイジェイ
音楽監督:
 チョ・ヨンウク
アニメーション原画;
 こしだミカ
アニメーション衣装デザイン:
 美馬佐安子
エグゼクティブ・プロデューサー:
 荒井カオル
製作:
 2021年製作/G/韓国・日本合作
上映時間:
 118分
原題:
 Soup and Ideology
配給:
 東風

ひとりの女性の生き様をとおして
国家の残酷さと運命に抗う愛の力を唯一無二の筆致で描き出す
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大阪・生野区生まれ、在日コリアンのオモニ(母)。
2009年にアボジ(父)が亡くなってからは大阪でずっと一人暮らしだ。
ある夏の日、朝から台所に立ったオモニは、高麗人参とたっぷりのニンニクを詰め込んだ丸鶏をじっくり煮込む。
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それは、ヨンヒとの結婚の挨拶にやって来るカオルさんにふるまうためのスープだった。
新しい家族に伝えたレシピ。突然打ち明けた「済州4・3事件」の壮絶な悲劇。
アルツハイマーでしだいに記憶を失なっていく母を、ヨンヒは70年ぶりに春の済州島へ連れていくー
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年老いた母が、娘のヨンヒにはじめて打ち明けた壮絶な体験 —
1948年、当時18歳の母は韓国現代史最大のタブーといわれる「済州4・3事件」の渦中にいた。
朝鮮総連の熱心な活動家だった両親は、「帰国事業」で3人の兄たちを北朝鮮へ送った。父が他界したあとも、“地上の楽園”にいるはずの息子たちに借金をしてまで仕送りを続ける母を、ヨンヒは心の中で責めてきた。心の奥底にしまっていた記憶を語った母は、アルツハイマー病を患う。消えゆく記憶を掬いとろうと、ヨンヒは母を済州島に連れていくことを決意する。それは、本当の母を知る旅のはじまりだった。
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監督は『ディア・ピョンヤン』『かぞくのくに』など、朝鮮半島と日本の悲劇的な歴史のうねりを生きる在日コリアン家族の肖像を親密なタッチで写し続けてきたヤン ヨンヒ。本作ではクレイ人形やアニメーションを駆使して母が語ってこなかった記憶を鮮やかにスクリーンに照らし出す。音楽監督を務めたのは『お嬢さん』『タクシー運転手 約束は海を越えて』など、名だたるヒット作を生み出してきたチョ・ヨンウク。
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なぜ父と母は、頑なに“北”を信じ続けてきたのか? ついに明かされる母の秘密。あたらしい家族の存在…。これまで多くの映画ファンを魅了してきた、あの〈家族の物語〉が、まったくあらたな様相をおびて浮かび上がる。

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