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04月

茶飲友達(4/22~5/5)

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誰だって、ひとりは寂しい。

監督/脚本/プロデューサー:
 外山文治
プロデューサー:
 市橋浩治
出演:
 岡本玲
 磯西真喜
 海沼未羽
 渡辺哲
 瀧マキ
 岬ミレホ
 長島悠子
 百元夏繪
 クイン加藤
 海江田眞弓
 楠部知子
 中山求一郎
製作:
 2022年製作/PG12/日本
上映時間:
 135分
配給:
 イーチタイム

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妻に先立たれ孤独に暮らす男、時岡茂雄(渡辺哲)がある日ふと目にしたのは、新聞の三行広告に小さく書かれた「茶飲友達、募集」の文字。
その正体は、高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」だった。運営するのは、代表の佐々木マナ(岡本玲)とごく普通の若者たち。
彼らは65歳以上の「ティー・ガールズ」と名付けられたコールガールたちに仕事を斡旋し、ホテルへの送迎と集金を繰り返すビジネスを行なっていた。
マナはともに働くティー・ガールズや若者たちを “ファミリー”と呼び、それぞれ孤独や寂しさを抱えて生きる彼らにとって大事な存在となっていた。
ある日、一本の電話が鳴る。
それは高齢者施設に住む老人から「茶飲友達が欲しい」という救いを求める連絡であったー。



高齢者の生き方に正解はあるのか
若者の未来はただの絵空事ではないのか
みんな寂しい、だから“ファミリー”が必要だった

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「人生100年時代」。日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超え、巷では豊かで自分らしい老後の生き方・過ごし方にさまざまな角度からスポットライトが当てられている。
その一方で、孤独死、介護疲れによる無理心中など、高齢者を取り巻く悲しい事件は後を絶たない。
高齢者を支える若者世代もまた、低賃金低所得、ディスコミュニケーションなど、暮らしと心にダメージを受け、行き場のない閉塞感に陥る人が増殖している。

先の見えない日々のなかで、2013年10月に起きた高齢者売春クラブ摘発のニュースに着想を得て生まれた社会派群像劇『茶飲友達』。抗いようのない日々を浮き彫りにしながら、高齢者と若者、異なる世代はどのように交わり、共存していくべきなのか。正解のない問いに向き合いたくなる作品が誕生した。

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高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を経営する主人公・佐々木マナを演じたのは、ドラマ・CM・映画・舞台で可憐な役から影のある役までこなし、幅広い活躍を続ける岡本玲。本作では孤独な高齢者には娘のようにくったくのない笑顔で語りかけ、運営仲間の若者たちには、正義を示しながら時に元締めとしての存在感を見せつける。一方で自身が抱えている家族との埋められない溝や、寂しさから漏れ出る不安定さをスクリーンに刻みつけた。

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今作の脚本・監督を努めたのは、2013年、吉行和子主演の『燦燦-さんさん-』で長編デビューを飾り、高齢者の婚活をチャーミングに描き出した外山文治。同作品は“モントリオール世界映画祭2014”より正式招待を受けた。その後も芳根京子主演『わさび』、吉行和子主演『春なれや』など、短編作品を精力的に発表。2020年には、若い男女の切ない逃避行を描いた村上虹郎、芋生悠主演の長編作品『ソワレ』が公開され、話題を呼んだ。

抗いようのない厳しい現実の中で、老いてなお生き方を模索する高齢者たち。社会の隅であきらめかけて生きる若者たち。群像劇は外山作品としては初めての試みとなるが、センセーショナルな題材を用いながらも、痛みや弱みを抱える登場人物たちから目を逸らすことなく、なおかつ結末に一筋のやわらかい光を願える外山の視点は今作でも健在。誰もが自らの立ち位置から、今と未来を見つめ、隣にいる誰かを思わずにはいられなくなる。

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