17
02月

謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス(2/17~3/2)

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この世は地獄か?天国か?

監督:
 ホセ・ルイス・ロペス=リナレス
出演:
 ラインダー・ファルケンブルグ
 シルビア・ペレス・クルース
 ルドビコ・エイナウディ
 オルハン・パムク
 ミケル・バルセロ
上映時間:
 90分
配給:
 アルバトロス・フィルム

この意味を説明するためには、言葉を発明しなければならない。[ネリダ・ピニョン(作家)]
2016年夏。ヨーロッパのアート界は、ブリューゲル、ルーベンス、ダリ、マグリットなど、多くの画家に影響を与えた芸術家の話で持ちきりだった。その人、ヒロニエムス・ボス。15~16世紀のネーデルランドで活躍した天才画家で、人物像の詳細はおろか生年月日も不明。現存する作品は25点のみと、謎に満ちた人物である。彼の作品群の中で最高傑作にして美術史上最も異彩を放つ作品とされるのが、スペインのプラド美術館が所蔵する三連祭壇画『快楽の園』だ。ボス研究者をして決定的な解釈のなされていない難解かつ魅惑の作品は、エロチックでグロテスクな“天国と地獄”が所狭しと描かれた奇想天外な世界。ボスは誰のために、何のために描いたのか? 謎が謎を呼ぶ一大スペクタクルである。

この絵は今その前に立っている私たちの幻影なのだと気付けば、その内側を見るや否や私たちは夢を見始める。[ラインダー・ファルケンブルグ(美術史家)]
ボス没後500年を迎え、プラド美術館全面協力のもと、ドキュメンタリー作家のホセ・ルイス・ロペス=リナレスが大作をカメラに収めることを許可される。連日世界中から美術愛好家が押し寄せる昼の美術館とは一転、静寂に包まれた夜の美術館に招かれたのは、ボス研究家の第一人者であるラインダー・ファルケンブルグ、ノーベル賞作家のオルハン・パムク、ヨーロッパを代表する作家のセース・ノーテボームとサルマン・ラシュディ、ソプラノ歌手のルネ・フレミングなど、各界の知識人たち。謎を解明しようと『快楽の園』と対峙するものの、膨大な情報量と圧倒的なパワーに言葉を失い、寓意に満ちた幻想の世界に没入していく。

カメラは“悪魔のクリエイター”とも呼ばれたボスの創作の謎と素顔に迫る。赤外線分析で判明した下絵、緻密な筆遣いと顔料の秘密、現代に受け継がれなかった古楽器、そしてキリスト教との深い関係。多方面の専門家の解説から『快楽の園』に込められた思想と、先進的な知識人だったボスの情熱が垣間見える。
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