07
03月

ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲(ラプソディ)(3/7〜3/13)

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この国では誰もホントのことを言わない。


監督:
 才谷遼
出演:
 隆大介/楠穀平
 寺田農/村井
 デコウトミリ/ハルカ
 宝田明
 慶徳優菜/ウミ
 柳沢なな
 桜井浩子
 関口晴雄
 伊嵜充則
トキ・キャラクターデザイン
 のん
上映時間:
 113分
日本公開日:
 2019年3月9日
製作年:
 2019年
配給:
 ラピュタ阿佐ヶ谷

原発最前線の町・フクシマ県楢穂町。
出向で赴任してきた真面目な男が目にする異様な現実とは――?

原発最前線であるフクシマ県楢穂町役場に楠穀平(隆大介)は出向を命じられる。
配属先は特別震災広報課。同僚となったのは個性的な面々(柳沢なな、関口晴雄、伊嵜充則、飯田孝男)だった。穀平は上司となる役場の助役・村井(寺田農)に連れられ、フクシマの各所を訪ねる。

津波で押し流された地区、未だ復旧しない鉄道、終わらない除染、セシウムが降り積もった帰宅困難地域の村……。フクシマの現状とそこで生活する住民や作業員たちの現実を目の当たりにする穀平。案内する村井は終始笑顔を絶やさない。

一方、穀平の娘、小児科病院に勤めるハルカ(デコウトミリ)は入院する子供たちの現実に胸を痛めていた。そのハルカは、そこにいない誰かと話す男の子が気になりはじめる。

ある日、穀平は村井から、近々開催される「原子力研究所副所長就任を祝う会」を円滑に楽しく進められるよう言い渡される。
会に臨んだ穀平。彼が目にしたのは過激に陽気に盛り上がる異様な大宴会だった――。

3.11から8年。フクシマで始まる大宴会!
タブー無視、掟破りの問題作がカゲキに陽気に開幕!開幕!

♪「たまった たまった汚染水 放出だ!放出だ!薄めてしまえば判らない」
♪「一基や二基の爆発で、潰してなるか原発利権 失敗しても爆発しても 次は廃炉さ 廃炉があるさ」
♪「行き先のない核のゴミ ならばここに どうせここには帰れない 帰りたくとも帰れない」
――――それ踊り狂へ。やれ歌ひ狂へ。。。

原発最前線の町で戸惑う主人公・楠穀平を演じるのは、クロサワ映画やNHK大河ドラマで脚光を浴びた燻し銀の演技派、隆大介(『影武者』)。凄惨な実状を笑顔で案内する町役場の助役・村井を怪演するのは映画、舞台、声の仕事など幅広く活躍する寺田農(『肉弾』)。穀平のふたりの娘、姉ハルカにデコウトミリ、妹ウミに慶徳優菜。このほか穀平が配属される特別震災広報課の面々に、柳沢なな(『仮面ライダーキバ』)、関口晴雄(『関ケ原』)、伊嵜充則(『夢』)、飯田孝男(『カインの末裔』)。また、原知佐子(『シン・ゴジラ』)、田村奈巳(『大誘拐 RAINBOW KIDS』)、桜井浩子(「ウルトラQ」)、宝田明(『ゴジラ』)など豪華な俳優陣が集結した。

監督は映画館「ラピュタ阿佐ヶ谷」や出版社「ふゅーじょんぷろだくと」を経営する才谷遼。商業映画初監督作『セシウムと少女』で海外の25の賞にノミネート、10の受賞を果たした。作品を陽気に彩る音楽はアーティストへの楽曲提供・ライブサポートなど多数のプロジェクトに携わる江口貴勅。

さらに本編中に散りばめられる多彩なアニメーション表現にも注目したい。『北斎大蛸は福島原発を愛でる』は人形アニメーターの眞賀里文子(「コンタック」CM)が担当。画コンテにはあの『シン・ゴジラ』の樋口真嗣が参加!『愉快なガイコツ3人組』パートは「ニャッキ!」で知られる伊藤有壱。このほか挑戦的な映像表現の作家たちが、競うようにユニークな映像を提供した。

混沌と諧謔。このカオスの中に浮かび上がるのは希望か、絶望か。

なんでフクシマ、どうして宴会?
 2011.3.11にあった大事故わずか1ヶ月後の東京各地では、あちこちで花見の宴会がいつものように開かれていた。ぼくらもそうだった。
 桜の花の下で宴会をしながら思った「あれだけの大事故のあとなのに」そして思った。これは是非、映画にしなくては。
『ジャズ大名』の殿さまも上では官軍・幕府軍入りみだれての大戦闘中なのに「ええい!ここは大宴会だ」踊って歌って大狂宴!「うさぎのバカヤロー!」とガイコツになっても叫んでた”あいつ(寺田農/『肉弾』)“が死なずに50年後のこの光景をみたらなんて思うだろうか?

そして早8年が過ぎた。
 検査した関東の子どもたち7割の尿からセシウムが検出(2013.9.26AERA)という記事。
それでもこの国では原発に疑問をいうだけで異端児あつかいされる同調圧力。ちょっとおかしくないかと、こころの中でつぶやくことしか許されないニッポンという国。

ええい!じゃ宴会だ、歌って踊れ大宴会!一期は夢よ、只、狂え!という作品かな。
(才谷遼監督)
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