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09月

リトル・ジョー(9/12~9/25)

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新種の植物リトル・ジョーが花を咲かせるとき、
かつて体験したことのない幸せがあなたを待っている。

リトル・ジョー


監督:
 ジェシカ・ハウスナー
出演:
 エミリー・ビーチャム/アリス
 ベン・ウィショー/クリス
 ケリー・フォックス/ベラ
 キット・コナー
 デビッド・ウィルモット
 フェニックス・ブロサール
 セバスティアン・フールク
 リンゼイ・ダンカン
原題:
 Little Joe
上映時間:
 105分
日本公開日:
 2020年7月17日
製作:
 2019年製作/オーストリア・イギリス・ドイツ合作
映倫区分:
 ー
配給:
 ツイン

第72回 カンヌ国際映画祭 女優賞(エミリー・ビーチャム)

新種の植物 ”リトル・ジョー” は、人を幸せにする特別な花。
夢のような効力を持つこの深紅の花は、人々にいったいどんな変化をもたらすのか―
 バイオ企業で新種の植物開発に取り組む研究者のアリス(エミリー・ビーチャム)は、息子のジョー(キット・コナー)と暮らすシングルマザー。
 彼女は、見た目が美しいだけでなく、特殊な効果を持つ真紅の花の開発に成功した。その花は、ある一定の条件を守ると、持ち主に幸福をもたらすというのだ。その条件とは、1.必ず、暖かい場所で育てること、2.毎日、かかさず水をあげること、3.何よりも、愛すること。会社の規定を犯し、アリスは息子への贈り物として花を一鉢自宅に持ち帰り、それを“リトル・ジョー”と命名する。花が成長するにつれ、息子が奇妙な行動をとり始める。
 アリスの同僚ベラ(ケリー・フォックス)は、愛犬のベロが一晩リトル・ジョーの温室に閉じ込められて以来、様子がおかしいと確信し、原因が花の花粉にあるのではと疑い始める。アリスの助手、クリス(ベン・ウィショー)もリトル・ジョーの花粉を吸い込み、様子がいつもと違う。何かが少しずつおかしくなっていくその違和感は、果たしてこの植物がもたらしたものなのか…。

カンヌ国際映画祭を静かに震撼させた、怪しくも美しいサイエンス・スリラー。
 第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された本作は、上映されるやいなや話題をさらい、主演のエミリー・ビーチャムに女優賞をもたらした。
バイオ企業の研究室に務めるシングルマザーのアリスは、人を幸せにする、真紅の美しい花の開発に成功する。アリスは、自らの息子の名前にちなんで“リトル・ジョー”と名付けるが、開発されたばかりのその花は、成長するにつれ人々にある変化をもたらす。アリスはその原因が“リトル・ジョー”の花粉の影響かもしれないと疑い始めるが……。
 真紅の花“リトル・ジョー”を中心に、ヴィヴィットな色を基調とする本作は、どこかお伽話のように描かれる日常に不穏な空気が漂い、得体の知れない耽美な世界に観るものを誘う。SF的な題材を扱ったスリラーながら、懐かしい怪談の匂いさえする。唯一無二の世界観は、映画ファンなら必見だ。
監督を手掛けたのは、オーストリア出身のジェシカ・ハウスナー。カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映された『Lovely Rita ラブリー・リタ』(01)で注目を集め、シルヴィー・テステュー、レア・セドゥらフランスの実力派俳優を揃えた『ルルドの泉で』(09)では第66回ヴェネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞するなど高い評価を得ている気鋭の女性監督だ。長編5作目となる本作は満を持してカンヌのコンペティション部門に選出された、彼女の最高傑作といえる。

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