15
05月

アンモナイトの目覚め(5/15~5/28)

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見つけて、泥の中の私を。

アンモナイトの目覚め


監督:
 フランシス・リー
出演:
 ケイト・ウィンスレット
 シアーシャ・ローナン
 ジェマ・ジョーンズ
 ジェームズ・マッカードル
 アレック・セカレアヌ
 フィオナ・ショウ
上映時間:
 117分
日本公開日:
 2021年4月9日
製作:
 2020年製作/イギリス
映倫区分:
 R15+
配給:
 ギャガ

孤独を愛し、化石を愛し、そしてー
歴史に隠された古生物学者メアリーの人生の選択とは
心の痛みと恍惚を、繊細かつ大胆に描く美しきヒューマンドラマ
 荒い波が打ちつける海岸で、化石を求めて岩場によじ登るメアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)。時は1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジスに母親(ジェマ・ジョーンズ)と二人で暮らすメアリーは、独学だが古生物学者としてその名を知られていた。だが、大英博物館に展示されている魚竜イクチオサウルスの化石を発掘した栄光も遠い過去となり、今では生活のために観光客の土産物用アンモナイトを探して売っている。
 そんなメアリーの店に、ロンドンから化石収集家のロデリック・マーチソン(ジェームズ・マッカードル)が、妻のシャーロット(シアーシャ・ローナン)を伴って訪れる。裕福なロデリックは、メアリーが磨き上げたアンモナイトを購入し、採集に同行させてほしいと頼み込む。人付き合いが苦手で社交界にも全く興味のないメアリーは露骨に迷惑そうな顔をするが、謝礼を弾むと言われて渋々受けるのだった。
 ロデリックが町を去る日、メアリーはさらに迷惑な頼みごとを押し付けられる。流産のショックから立ち直れず、抜け殻のようになったシャーロットをこの静かな地で療養させるので、数週間預かってほしいというのだ。翌日、シャーロットは浜辺までついてくるが、不機嫌そうに黙ったまま何もしない。そうかと思うと突然、採集を見せろと要求するシャーロットに、メアリーは「口出ししないで」と冷たく言い放つ。憤慨したシャーロットは、一人で水泳を始めるのだった。
 次の日、メアリーの店に現れたシャーロットは、高熱を出して倒れてしまう。往診した地元の医師から24時間の看護が必要だと言われたメアリーは、「冗談じゃない」と拒絶するが、苦しそうにうなされるシャーロットを見て心を変える。メアリーの献身的な介抱のおかげでシャーロットが完全に回復した時、二人の間に温かな感情が芽生え始めていた。
 そんな中、メアリーは医師から自宅で開く音楽会に招待され、シャーロットを連れて出かけていく。だが、かつてメアリーと関係のあったエリザベス・フィルポット(フィオナ・ショウ)を紹介され、すぐに上流階級の輪の中に溶け込むシャーロットにショックを受けたメアリーは一人で帰宅してしまう。そんなメアリーの想いを深く汲み取ったシャーロットは、「今夜のあなたは輝いていた」と励ますようにメアリーの手を握るのだった。
 翌日、一人では運べない大きな石を海岸から二人で持ち帰ると、それは価値のある化石だった。二人は発見の喜びと互いへの想いに満たされ、初めて知る幸せを抱きしめ合う。ずっと心に巣くっていた孤独から解放される悦び。だが、輝く日々は光のように過ぎ去り、シャーロットはロンドンへ戻ることとなる。一緒にロンドンで暮らしたいというシャーロット。しかし、メアリーが選んだ選択は――。

世界が絶賛!
『ゴッズ・オウン・カントリー』で鮮烈なデビューを果たしたフランシス・リーが描く、
孤独の中に埋もれた自分を発掘していく、女たちの物語。
 2020年、開催を見送られたカンヌ国際映画祭や、その年の映画賞レースの行方を占うトップバッターと言われるテルライド映画祭でオフィシャルセレクションに選ばれ、9月に開催されたトロント国際映画祭でようやく初披露された際には一気に〈アカデミー賞®最有力〉の賞賛を集めた作品が、ついに私たちの前にも現れる。
 何と言っても注目されたのは、ハリウッドを代表する演技派でありアカデミー賞®女優のケイト・ウィンスレットと26歳にして鮮烈な表現力でアカデミー賞®4度のノミネートを誇るシアーシャ・ローナンの、初共演にして体当たりの演技合戦だ。イギリスの重苦しい景色の中で、感情を押し殺して生きてきた2人の女性の感情が激しく燃え上がる様を、抑圧と爆発のコントラストの演技で魅せる。 1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジスで、世間とのつながりを絶ち暮らす人嫌いの古生物学者メアリー・アニング。かつて彼女の発掘した化石は大発見として一世を風靡し、大英博物館に展示されるに至ったが、女性であるメアリーの名はすぐに忘れ去られ、今は観光客の土産物用アンモナイトを探しては細々と生計をたてている。そんな彼女はある日、裕福な化石収集家の妻シャーロットを数週間預かることとなる。美しく可憐で奔放、何もかもが正反対のシャーロットに苛立ち、冷たく突き放すメアリー。だがメアリーは、自分とはあまりに違うシャーロットに惹かれる気持ちをどうすることもできない。そしてシャーロットの存在が、次第に、メアリーが頑なに心の奥底に隠していた恐れや秘密、そして彼女自身も知らなかった本当の想いをつまびらかにしていくが――。
 ケイトが演じた実在の古生物学者メアリーは、わずか13歳の時に成し遂げた〈大発見〉が大英博物館に展示され、その後も現代の“恐竜ブーム”にもつながる化石を掘り起こしたが、長きにわたって表の歴史からかき消されていた女性。今、真に女性の生きやすい世の中を創り出そうとする流れの中で、そんなメアリーにスポットライトを当てたのは、フランシス・リー監督。
 2017年に長編初監督・脚本を務めた『ゴッズ・オウン・カントリー』でサンダンス映画祭ワールドシネマ監督賞、英国インディペンデント映画賞作品賞/主演男優賞/新人脚本家賞、ベルリン映画祭テディー賞/エンパイア賞作品賞/主演男優賞受賞、英国アカデミー賞英国作品賞ノミネートなど数々の賞に輝き、驚愕の監督・脚本家デビューを果たしたリーは、長編2作目となる本作で、世界中のクリエイターが組みたいと切望するケイトとシアーシャという2大女優を迎え、孤独の中に埋もれた自分を発掘していく女たちの物語を、実在のメアリーにインスパイアされながら繊細かつ大胆に描き上げていく。

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