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23
11月

ハワーズ・エンド[1992](11/23〜11/29)

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愛が騒ぐ。自由の風が吹く。


監督:
 ジェームズ・アイボリー
出演:
 アンソニー・ホプキンス/ヘンリー
 バネッサ・レッドグレーブ/ルース
 ヘレナ・ボナム・カーター/ヘレン
 エマ・トンプソン/マーガレット
 ジェームズ・ウィルビー
 サミュエル・ウェスト
原題:
 Howards End
上映時間:
 143分
日本公開日:
 2019年9月13日
製作年:
 1992年
映倫区分:
 G
配給:
 ハーク

ジェームズ・アイヴォリーが監督した、E・M・フォースター文学の最高峰として名高い映画『ハワーズ・エンド』が4Kデジタル・リマスター版として甦る。

葉群れと花々にこぼれる ハワーズ・エンド邸を舞台にまわる輪舞曲
本当の愛を知り、人は素直になっていく

 知的中流階級で理想主義的なシュレーゲル家と、実業家で現実的なウィルコックス家。正反対な両家は旅行中に親しくなり、シュレーゲル家の次女ヘレンは、田舎にあるウィルコックス家の別荘、“ハワーズ·エンド”に招かれる。美しい田園風景と人々の歓待に囲まれ、ヘレンは次男·ポールに一目惚れ、ふたりは恋におちる。ヘレンは姉に宛てて「婚約しました」と綴る。この手紙の行き違いによる大騒ぎで物語は幕を開ける。運悪く、ロンドンのシュレーゲル家の向かいにウィルコックス家が越してきた。失恋の痛みは癒えたもののヘレンは彼らに会おうともしない。しかし、穏やかな姉、マーガレットは、老夫人ルースと親しくなった。現実を合理的に割り切るウィルコックス家の中で、ただひとり魂や自然の声に耳を傾けるルースとマーガレットは、血のつながりを越えて深くわかりあった。死を前にして「ハワーズ·エンドはマーガレットに」という遺言を残して逝ったルース夫人。しかし遺言はもみ消された。その後、マーガレットは残された夫、ヘンリーと結婚しウィルコックス家へ、ヘレンは、ヘンリーの失策から失業したパスト氏と、同情のあまり一夜をともにしてしまい、シュレーゲル家は崩壊してしまう。階級や立場を超えて、人は愛しあうことができるのだろうか?

ハワーズ・エンド邸をめぐって、翻弄される美しい姉妹の恋
 情感ゆたかに美しく人生を描き、現在のイギリス映画界でただひとり正統派の作品を手がける名匠、ジェイムズ アイヴォリー。『眺めのいい部屋』『モーリス』と20世紀初頭の優雅な上流社会を舞台に、時代や社会の束縛から逃れ、自分に素直に生きていこうとする若き主人公の姿を描きつづけてきたアイヴォリーが、三たび、E・M・フォースター文学の映画化に挑戦した。フォースター文学の最高峰として名高い『ハワーズ・エンド』である。

 理知的な姉と感情的な美貌の妹―同じ理想をわかち合いながら、違う生き方を選ぶふたりのヒロインをめぐって、女と男、理想と現実、貧しき者と富める者、自然と都市といった、時代を越えた対立が走馬燈のように映し出される。物語は、映画の中で象徴的に流れるベートーベンの「運命」のように、幾重にも広がりながら美しい調和を迎えていく。また、自然や精神世界への憧れ、ハワーズ・エンド邸が持つ不思議な魔力など、目に見えないものの存在を信じ、すべてを受け入れていくルース夫人の生き方は、マーガレットへと受け継がれていく。それはやがて、人々を結びつけ、幸せにしていく。この物語は、瞑想的な心のあり方に、真実の希望があることを、閉塞的なイギリスの階級社会に生きる人々の愛憎のうちに描き、共感を呼んだ1910年に書かれ、『インドへの道』にも書かれたこの原作の精神は、今なお新しいテーマなのである。ソロの『モーリス』から交響曲『ハワーズ·エンド』―人間模様を巧みに織りこんだこの映画は、アイヴォリーの円熟の極みでありヴィスコンティの絢爛たる世界に通じる傑作として、深い感銘を呼びおこすことだろう。
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